一休さんの話が好きだ。幼少のころ、テレビアニメで夕方ごろにやっていた記憶がある。将軍様と小坊主の一休さんがトンチ合戦をして小坊主である一休さんに将軍様がやり込められる。っていうのが大体毎話の流れだ。最後に将軍様が「これは一休にやられたわい」的なセリフでめでたしめでたしとなる。
有名な話で、京の町に架かる橋に「このはし、わたるべからず」とお触書が出ていて町の衆が困っていたところ、一休さんが橋の真ん中を堂々と歩いて渡る。それを見咎めた将軍様が「一休!この触書が見えぬのか!」と凄い剣幕で怒鳴りつけたところ、一休さんが「ですから、端ではなく真ん中を歩いております」とトンチというかヘリクツというか微妙な言葉を堂々と、時の将軍様に投げつける。で、「これは一休にやられたわい」めでたしめでたし。
こんな平和なトンチ合戦を毎週繰り広げる。日本の隣の将軍にこんなことしたら、速射砲で処刑になるだろう。間違いなく、めでたしめでたしでは終わらない。
しかし、「このはし、わたるべからず」で真ん中歩くっていうのが、トンチといえばトンチだしヘリクツといえばヘリクツだと思う。だいたいなんだよ、「屏風に描かれた虎を捕まえてみろ」って言われて、「捕まえてやるからお前の方で屏風から追い出せ」って。ケンカ売ってんのか、ヘリクツ100%だろ、そんなの。
まあ、なんだかんだ言ってこのトンチ合戦が好きだった。だって、子どもながらにも無茶苦茶なんだもん。
でも、そんな無茶苦茶なトンチ合戦を、現代の世の中で見かけると、否応なしに「これはやられたわい!」ポンと膝を打ってしまう。
秋葉原のいわゆるガールズバーのお店での話。ガールズバーやコンカフェは風俗営業法で2号営業(低照度飲食店)で営業しているお店が多く2号営業で開いているお店は接待行為は禁止されている。なので、キャバクラやクラブと違って、店員がお客の横に座って接客するなんて、もってのほかなのだ。

で、現代の一休は考えた……。お客の座っている真横でバランスボールで運動するのだ。座っているように見えるけど、バランスボールで運動しているので接待じゃないのだ。「これはやられたわい!」ポン!……。しかし、そのお店はいつのまにか閉店したそうだ。

しかし、国レベルでそんなトンチ合戦があったという話だ。某国の国内株式市場が暴落し下げ止まらないので、ネット証券では「売却」ボタンが一時消えたらしい。みんなが売るんだから暴落する……。だったら「売却」ボタンを押せなくしよう!「これはやられたわい!」ではあるが、本当にやっていたらすごい話だなーって思う。もうトンチだろうがヘリクツだろうが、どっちでもいい規模になっている。
ただ、現代の世の中はトンチで解決しても、めでたしめでたしとはならない。