結婚式場の倒産

一生に一度

結婚式。有名なテーマパークやチャペルでの挙式、教会式や神前式、人前式など、式を上げる二人が思い思いの夢を持って創り上げていく。

結婚式の準備はこれから共に歩んでいく人生の最初の試練かも知れない。金額の折り合いや、温度差の違い……、二人の意見の擦り合わせ、それ以外に来賓の食事内容や当日の衣装など決定しなくてはいけない事が盛り沢山。それが通常の仕事や生活に上乗せされる。まあケンカする事が多くなる。もう20年前に行った自分の結婚式準備を思い出した。

結婚式を上げる二人はもちろん大変だが、式場のプランナーの方も大変な仕事だ。プランナーにとっては仕事で何組もの結婚式を挙げているわけだが、その二人にとっては一生に一度。失敗は許されない。プレッシャーのかかる仕事であることは間違いない。プレッシャーに弱い自分にはできない仕事だなと自分の結婚式を担当してもらったプランナーの方を見ていて20年前も思ったし、今もその考え変わらない。

とある企業の倒産

2017年3月に株式会社Brilliaと関連会社である他3社が東京地裁に自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けたと伝えられた。この会社、結婚式場を経営、負債総額は株式会社Brilliaと関連会社で98億円。同業の破産規模としては過去二番目の大型倒産となった。

2006年の4月に設立された同社は、当初兵庫県内の結婚式場を運営、式場のレストランや集会場の賃貸などを手掛けていた。

2009年頃から銀座や表参道、名古屋の式場の運営をはじめ、業容を拡大、テレビ番組でも取りあげられるほど知名度を上げていった。そして、2016年8月期、年売上高65億1600万円を計上、しかし、2017年3月8日自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けることになる。

65億の年売上を計上した半年後に破産手続きが開始されるという、最後が爆発して終わってしまうジェットコースターのように株式会社Brilliaという2006年4月に設立された会社が2017年3月に破産した。

倒産は終わりの始まり

もう一回言うと、株式会社Brilliaという2006年4月に設立された会社が2017年3月に破産した。1行で記録される出来事である。しかし、倒産は終わりではない。「倒産」の記録の裏には悲劇が隠されている。

結婚式は今日予約して明日契約して、すぐに履行というような商品ではない。実際、6ヶ月前の予約でも遅いくらいのようだ。(実体験で自分が結婚する際に、6ヶ月後の式場予約の話をしていたが、式場側は1年6ヶ月後の予約話として聞いていた事があった)

そんな期間の長い付き合いになる商品なので、倒産となると一般消費者が多大な被害を被る。もちろん貸倒引当金を当てている人は少ないと思うので、金銭的被害はそのまま降りかかる。ただ、今回の倒産は祝い事である結婚式だ。一生懸命準備してきた二人には金銭的より精神的被害が大きいのではないだろうか。

当時書かれたブログを見ると前金として120万円支払った人や、無事に式を上げられるのか不安な人など、人生で最高な日に向かっていた人たちを、不幸に落としたことが伺える。それは何て声をかけるべきかと思ってしまうほど、悲痛な文章が綴られていた。

配布されたポケットティッシュ

そんな、株式会社Brilliaが運営していたBRILLIA WEADDINGが配布していたポケットティッシュを9年前にもらっていたことに最近気がついた。

2016年の5月1日ゴールデンウイークの真っ只中にJR有楽町駅の前でもらった。銀座に近い有楽町駅前で配布していたようだ。

「10周年記念フェスタ開催中!!」と華々しく記載されている。まさか、次の年に倒産して破産手続きが開始されるとは想像できない。

しかし、「9月までの結婚式が断然お得!!」と期限を決めたお得感や、「TVCM放送中!」と知名度を自ら全面に出すラベルに、何か怪しさを感じてしまう。「倒産した会社」と知っているフィルターが掛かっているから、そう見えるのだろう。人間の見え方なんて当てにならないもんだ。

その後の話

その後どうなったのかで記事を終わりたいと思う。

2018年9月19日に第4回債権者集会が開催された際の報告書「ご報告(破産手続廃止及び第4回破産債権社集会のご報告)」から引用する


(5)(結語)
債権者各位には,破産手続及び管財業務に対して,特段のご理解とご協力を賜りましたこと,心よりお礼申し上げます。また,破産債権に対する配当がない結果に終わりましたこと,大変恐縮に存じます。
尚,税金及び労働債権等の財団債権につきましては,今後,財団債権の一部弁済(債権額の割合による按分弁済)を進めていく予定でございます。
以上,ご報告申し上げます。何卒宜しく御願い申し上げます。

ご報告(破産手続廃止及び第4回破産債権社集会のご報告)より引用


最終的に、従業員に対する給料や滞納税金を支払い、その他の債権者には配当がない結果になったとのこと。ただただ、2016年の5月1日に自分と同じく有楽町駅前にいた人たちが、債権者になっていないことを願う。