中期国債ファンドとは……
残存期間5年以内の中期国債を中心にした投資信託。株式を組み入れず国債や金融債で構成する公社債投資信託なのだ。ポケットティッシュラベルにも書いてあるように、1ヶ月複利で利率も高めで1,000円など少額から買い付けが可能な金融商品である。
発売開始は1980年から、規制緩和により発売できるようになった金融商品。発売当時、山一証券のテレビCMで女優の田中美佐子さんが「中国ファンドなら山一証券」と伝えて姿が記憶に残っている。
略すると「中国ファンド」。中華人民共和国のファンドと認識しやすく発音は「ちゅうこく」ファンドとなっていた。また、文字では中国「系」ファンドと間違わないような注意が払われている。そういえば1980年代の田中美佐子さんも「中国」と書いて、聞き慣れない「ちゅうこく」と発音していた。今調べてみると、そういう事情があったのか。
元本割れの発生
ファンドである以上、元本割れのリスクはもちろんあるが、1980年の発売から20年以上元本割れを起こしたことが無く、安心安全の投資先となっていたが2001年に戦後初めて倒産した三洋証券株式会社の傘下である三洋投信委託が発行していた中期国債ファンドで元本割れになった。
事実上、元本保証に近い扱いを受けていた中期国債ファンドが元本割れした事実は、少額から買い付け投資ができる性質から個人投資家を中心に大きく影響した。
ちゅうこくファンドの今
少額から買い付けでき預金より利回りが大きく、元本保証ではないが安全性が高い中期国債ファンドは8兆円まで残高が膨らんだが、同様に公社債投資信託であるMMF(マネー・マネジメント・ファンド)登場など、個人投資家の「リスクをできるだけ回避して、預金より高い利回りを得たい」というニーズ満たす金融商品が発売され、最後まで取り扱っていた、大和証券投資信託委託・三菱UFJ国際投信・みずほ投信投資顧問の3社が2016年に償還し、それ以降、取り扱う運用会社が無い。
金融自由化や投資の多様化で生まれて消えていった「中期国債ファンド」。自分の記憶には田中美佐子さんが元気よく発していた「中国(ちゅうこく)ファンドは山一証券」というコピーだが、今ではファンドも証券会社もなくなってしまった。時の流れですな。
暮れの元気な挨拶をさせていただきます
本記事が2020年最後の投稿となります。来年も少しずつずつコンテンツ・ラベル情報を増強していきますので、何とぞよろしくお願いいたします。
それでは!!